「足がムズムズして座っていられない」「じっとしていると落ち着かず、つい貧乏ゆすりをしてしまう」——お薬を飲み始めてから、あるいは量が増えてから、そんな感覚に困っていませんか。
これは「アカシジア」と呼ばれる、精神科の薬の副作用でよく見られる症状かもしれません。この記事では、原因となりやすい薬剤やガイドラインに基づく対処法を、精神科医の立場から解説します。
この記事のポイント
- アカシジアは、抗精神病薬などの副作用で起こる「じっとしていられない」状態
- アリピプラゾールなど一部の薬で頻度が高いとの報告がある
- 治療の第一選択はベータ遮断薬(プロプラノロール)、リボトリールなどが使われる
- 自己判断での減薬・中断は禁物。必ず主治医に相談を
- とはいえ耐えられるレベルの苦痛ではない。即日主治医に相談でもいいくらい。
- 自殺リスクを上げるとも言われるため、相談を受けた家族はすぐに病院に相談を
アカシジアとは
アカシジア(akathisia)とは、主に抗精神病薬などの副作用として現れる、「じっとしていられない」という強い落ち着きのなさを特徴とする状態です。日本語では「静座不能症」とも呼ばれます。
単なる「そわそわする」という感覚だけでなく、実際に足踏みをしたり、座ったり立ったりを繰り返したりと、体が動いてしまう症状を伴うのが特徴です。
アカシジアの症状
| 本人が感じる症状(主観的症状) | 周りから見てわかる症状(客観的症状) |
|---|---|
| ・足がムズムズして落ち着かない ・じっと座っている、立っていることがつらい ・体の内側からそわそわするような感覚 ・イライラ感、焦燥感 | ・座ったまま足を揺らし続ける(貧乏ゆすり) ・立ったり座ったりを繰り返す ・その場で足踏みをする ・じっとしていられず歩き回る |
症状の程度は人によって差があり、軽い落ち着かなさ程度で済む場合もあれば、日常生活や睡眠に支障が出るほどつらく感じる場合もあります。
アカシジアの原因になりやすい薬
アカシジアは、主に以下のような薬剤で報告されています。特にアリピプラゾールやブレクスピプラゾールのような部分作動薬(パーシャルアゴニスト)は、他の抗精神病薬と作用の仕方が異なる分、アカシジアの頻度がやや高いとの報告があります。
また、基本的には若者に多いです。
| 分類 | 代表的な薬剤(一般名/主な商品名) |
|---|---|
| 非定型抗精神病薬 | アリピプラゾール(エビリファイ)、ブレクスピプラゾール(レキサルティ)、リスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)、ルラシドン(ラツーダ) |
| 定型抗精神病薬 | ハロペリドール(セレネース)、クロルプロマジン(コントミン) |
| 抗うつ薬(SSRIなど) | エスシタロプラム(レクサプロ)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、パロキセチン(パキシル) |
| 制吐剤 | メトクロプラミド(プリンペラン) |
いつ頃症状が出やすいか
アカシジアは、薬を開始してから数日〜数週間以内に出現することが多いとされています。長期間服用を続けている中で、量の調整をきっかけに症状が現れることもあります。
むずむず脚症候群との違い
「足がムズムズする」という症状は、「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」という別の病気でも見られ、しばしば混同されます。アカシジアは薬の副作用として日中・安静時を問わず起こりやすいのに対し、むずむず脚症候群は主に夕方から夜間、安静にしている時に強く出やすいという違いがあります。
詳しい見分け方はアカシジアとむずむず脚症候群の違いをご覧ください。

アカシジアへの対処法
アカシジアが疑われる場合、対応の基本は医師の診察のもとで行われます。一般的には、以下のような対応が検討されます。
基本的には薬をやめれば比較的スムーズに治ります!
- 原因となっている薬の量を調整する、または薬の種類を変更する
- β遮断薬のプロプラノロール(インデラル)やベンゾジアゼピン系薬(リボトリールなど)が用いられることもある
⚠ 症状がつらいからといって、自己判断で薬を減らしたり中止したりしないでください。薬を急に中止すると、もともとの病気の症状が悪化したり、離脱症状が出たりすることがあります。対応は必ず主治医と相談しながら進める必要があります。
こんな時は早めに主治医に相談を
- 足のムズムズ感やそわそわ感が、日常生活や睡眠に支障を来している
- 薬を始めた・増やした時期と症状の出現が重なっている
- 「性格的に落ち着きがない」と自分で片付けず、薬の副作用かもしれないと感じる
アカシジアは、原因となっている薬の調整によって改善が期待できる症状です。一人で我慢せず、次の診察で「足がムズムズして落ち着かない」と、感じている症状をそのまま主治医に伝えてみてください。
まとめ
- アカシジアは、主に抗精神病薬などの副作用で起こる「じっとしていられない」状態
- アリピプラゾールなど部分作動薬で頻度がやや高いとの報告がある
- β遮断薬(プロプラノロール)やリボトリールがよく治療に使われる
- 対応は薬の調整が基本だが、自己判断での中止は禁物。必ず主治医に相談を
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考文献・出典
- 【出典要確認】日本神経精神薬理学会「統合失調症薬物治療ガイドライン」
- 【出典要確認】日本うつ病学会「気分障害の治療ガイドライン」
- 【出典要確認】各薬剤の添付文書・インタビューフォーム
